福祉についてのインタビュー その2

人間関係と介護の関係

----私の母が実際にホームヘルパー二級を持っていて、実際に仕事や家事をしながら合間を縫って資格を取ったので、「手軽なもの」だと思ったのですが。


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前山先生
そうですね。例えば、難しい法学や科学の実験のレポートを書くより、介護自体が生活の延長上で人と関わりつつ学び取っていくものなので、取得しようと思えば誰でも目指し資格を手にすることが出来ますね。


----実際に母は調理補助から入ったのですが、仕事をしていくうちに「排泄や他のことも手伝いたい。」という気持ちになり、介護の幅を広げるために資格をとったそうです。

前山先生 そういう気持ちが大事で、利用者のことが見えてくると「もっと安心した介護をしてあげたい」という思いが自然と芽生えるんですよね。ホームヘルパーの仕事は、本来そういう気持ちから広がるんです。


----やっていくうちに自分に足りないものを発見し、より良い介護を目指す。だから、沢山の資格や沢山の講座があるんですね。

前山先生 人間の関係って終わらないんですよ。今日が良くても明日はダメかもしれないし、築き上げたのに一瞬にして崩れる場合もあるでしょう?だから、人間関係と介護の関係っていうのは終わらないんです。


----確かに一日として同じ日は無いですよね。

前山先生 そう、状態も気持ちも常に変わります。介護についても二度と同じものを提供できません。会話も違うし、対象も違う、状態も違うので、それを昨日と全く同じようにはできないです。そこをちゃんと観察して、昨日と同じ事をするには何が必要で何を実行するか。こういう考え方は専門性と技術を学んでなければできないことですよね。そうして学んでいくとまた未熟な自分が見えてくるんですよ。


----では、まず身近な人に対して自分が出来ることから実行し、そこから得るものや足りないものを見つけて介護の道に進む方がいいのでしょうか?初めから大きく考えてしまうととっつきにくいような気がするのですが。

前山先生 たぶん自然とそういう(助けたい)気持ちになる人が介護の道に進むのではないでしょうか?身近に介護が必要な人がいても、介護に関してはまったく興味がないような人なら介護の道には進まないと思います。だからどういう進み方がいいとか悪いとか、強制はできないですね(笑)


----自分の心の中に芽生える気持ちが一番重要なのですね。

前山先生 あと、満ち足りてない人が癒されたいと思って受講する方もいらっしゃいますね。職場で挫折を感じたり、人間味を感じない仕事に嫌気がさした、という動機で転職を考え学びに来る人もいます。動機は人それぞれですが、携わってみて一生この仕事が“天職”と思う方もいらっしゃいます。福祉業界へのハードルは他業と比べとても広く入りやすいと思いますよ。


----実際生活の延長上なら、「将来必ず直面するものでもあるし私もやってみようかな」と思ったりします。

前山先生 なかなか人の言葉で自分の価値観は変わらないと思いますが、自分の価値観や人生を研修の学びを通して変えることはできるんです。各講座には当事者の方がいらっしゃって、実際にメッセージを送るんです。ですから、学びのきっかけは「福祉を学びたい。」というより「人生で何かを得たい」という気持ちだけでも充分です。福祉は特別なものじゃないから。みなさん目に見える技術を福祉と考えがちですが、介護福祉とはそれだけではなくて誰もが暮らしやすくするための学問であり、考え方のことです。当事者であると、見た目でわかる人だけではなくて、内面に障害を持っている方も沢山いらっしゃり、「そういう人がいる」という視点を得るだけでも、世の中の見え方が変わってくると思いますよ。さらに、対人サービスのコミュニケーションの方法も学習するので、福祉だけの学問に特化していないんです。こうして「うんうん。」とうなずいて傾聴するようなノンバーバル‐コミュニケーション※2)の方法や心理学も含めて広く学習します。


----人と人が直接関わる分野ですのでその能力が一番重要になってくるのかもしれませんね。

前山先生 例えば、私たちは成功者に憧れ、そういう人を目指して向上しようとします。下を見て自分を慰めるということはするけれど、下を目指すということはほとんどしません。でも、本来人間は全て対等。福祉は実際に「対等な人の中から良いモノを導き出して影響し合える」ということを学べる世界でもあるんですよ。相手をきちんと見極めることが出来て、いいところを受け入れていくという姿勢が福祉の学問の一つです。


----学びながら、自分を変化させていくのでしょうか?

前山先生 つまり、自己覚知です。相手を理解するのではなく、自分を冷静に見つめ直す。自分自身の考え方の傾向を知ることです。そして自分を変えることが福祉のもっとうでもあります。自分の行動・考え方・感情・決定すること・身なり、全てを客観視して、自分を変えてから相手を見て関係を作っていくことが福祉です。

突撃☆インタビュー3へ続く。

※2)ノンバーバル‐コミュニケーション【non-verbal communication】
・言葉を用いないコミュニケーションの総称。写真・イラストレーションからジェスチャーや音楽まで、
さまざまな伝達方法がある。

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